『パーマン』は、人気を博していた『オバケのQ太郎』の後番組として、1967年4月2日から1年間放送された藤子アニメ第2号です。 前番組『オバケのQ太郎』は視聴率こそ取れていたものの、放送の長期化でキャラクター商品の売り上げが伸び悩んできていました。そのためスポンサーの不二家の意向によって番組のリニューアルが行われ、当時人気のあった『パーマン』がアニメ化されることとなったというわけです。 『オバQ』のヒットにより、『パーマン』の制作側ではカラー制作が望まれていましたが、不二家が提示した予算の関係で結局モノクロ制作となり、藤子アニメは1969年の『ウメ星デンカ』までモノクロでの制作が続きました。 『オバケのQ太郎』でアニメ制作を全て東京ムービーが受け持ったのに対し、本作のの制作は東京ムービーと、鈴木伸一先生を筆頭にしたスタジオ・ゼロが回単位(2話=1回)で、半分ずつ制作していました。 2社の制作本数の総数はピッタリ半分ずつだったそうですが、『怪物くん』のように毎回交互に制作していたわけではないそうです。 |
公式にメディア化された『パーマン』の映像は、1998年リリースされたビデオ・LD『東京ムービーアニメ主題歌大全集』第1巻収録のオープニング&エンディングのみとなっています。 ただしオープニングに関しては、『主題歌大全集』収録のものはテロップ違いの再放送版だそうです。 左画像が本放送バージョンと思われるもの('79年頃にヒーロー特集番組で流れたもの)なのですが、『主題歌大全集』収録のものはテロップがスタッフロールのみ表示されているのに対し、本放送版では歌詞テロップのみの表示となっています。 また、『主題歌大全集』ビデオではカットされていますが、本放送ではOPの後にもペコちゃんの登場シーンが存在します(後述)。 |
本放送仕様 (歌詞テロップのみ) |
東京ムービー主題歌大全集 (スタッフ表示のみ) |
このテロップ違いのものは、再放送でエンディングがカットされる場合に使用されたものだそうで、本来スタッフロールが表示されていたエンディングの代わりにテロップを表示しているわけです。 オープニング映像は恐らくこの1本だけかと思われますが、詳細は不明。 エンディングに関しては、少なくとも3種類の存在が確認されています。 |
(A) | (B) | (C)最終回バージョン |
(A)『主題歌大全集』に収録されているもの。パーマン1号と2号が飛行する映像で、『ぼくらのパーマン』1番を使用。 (B)『主題歌大全集』の映像特典として収録されたものですが、こちらでは『ぼくらのパーマン』の2番(「青いマスクを被ったら―」)が使用されています。ビデオ収録のものはなぜかノンテロップ版。 (C)最終回のみで使用されたもの。Bパート『パーマンよいつまでも』と一体になっており、テロップがスクロールしていくという斬新なものでした。 エンディング用主題歌は、どれもオープニングで使用されているものとは別録音のものです。 この他にも、1号〜3号(+4号・5号?)が登場する映像のエンディングがあったという話があり、更に、サントラCD『懐かしのミュージッククリップ39 パーマン』では、映像が確認されていない別バージョンのテレビサイズ主題歌(『ぼくらのパーマン』1番の歌い方が違うもの)も存在していますので、更にエンディングのバリエーションは存在しているようです。 また、『オバQ音頭』や『怪物くん音頭』のように夏期に主題歌が変更されるということもなかったため、主題歌として使用されたのは一貫して『ぼくらのパーマン』のみです。 |
『パーマン』のサブタイトルは、すべて『…の巻』という形態になっています。 このサブタイトル表示画面は、黒(グレー?)の背景に、活字/手書きゴシック体の白文字が表示されていました。ただし『パーマン花火の巻』のように、『パーマン』の文字だけは原作のロゴが使われることもあったようです。 |
『パーマン』の本放映時に次回予告があったのか無かったのか、映像が現存しているのかしていないのかは全く不明です。 '60年代のアニメで次回予告はそれほど重要視されていなかったため、本放送時に流れていても、その後破棄・所在不明となっているということも考えられます('60年代のTCJ作品など)。 ネオ・ユートピアが上映している『怪物くん』なんかには付いているのでしょうか? ちなみに、東京ムービーが'64年に制作した『ビッグX』、'67年の『巨人の星』には次回予告がありました。 |
不二家の一社提供だったモノクロ藤子アニメでは、不二家のマスコットキャラクター・ペコちゃんとの競演が恒例となっていました。『パーマン』の本放送時はオープニング・エンディング終了後に
|
タイトル | 作詞 | 作曲 | 編曲 | 歌 |
ぼくらのパーマン | 藤子不二雄 | 超部信義 | 超部信義 | 三輪勝恵、石川進 |
パーマン2号はウキャキャのキャ | 藤子不二雄 | 筒美京平 | - | 石川進、大竹宏 |
すてきなパー子 | 藤子不二雄 | 超部信義 | 超部信義 | 栗葉子 |
モノクロ版『パーマン』関係の曲はこの3曲のみ。 『ぼくらのパーマン』以外の2曲は基本的に番組内で使われず(インスト版はBGMで使われていましたが)、もっぱらソノシート向けの曲だったようです。 CDは、東芝EMIの『懐かしのミュージッククリップ39 パーマン』に3曲とも収録、コロムビアの『パーマン ザ★ベスト』には『パーマン2号―』以外の2曲が収録されています。そのほか、懐かしアニメの主題歌集などに『ぼくらのパーマン』がよく収録されています。 ただ、レコードサイズの『ぽくらのパーマン』は、レコード/CDに収録されているものが2バージョン存在していて、歌い方も違っています。2種類の大きな違いは、3番の台詞部分が「ウキー ただいまマイクのテストちゅう」と「ウキー マイクのテストちゅう」になっているという点で、CDには前者が多く収録されています。 …が、実際オリジナルなのは後者だそうで、正確な歌詞も「ウキー マイクのテストちゅう」の方です。オリジナル版は『懐かしのミュージッククリップ39 パーマン』に収録。 |
パーマン1号の冒険!! | パーマン2号 怪獣退治 | ジン魔神退治の巻 |
タイトル | ドラマ流用元 | 収録曲1 | 収録曲2 | 発売元 |
パーマン1号の冒険!! | 第01回A『パーマン誕生』(?) | ぼくらのパーマン | すてきなパー子 | 朝日ソノラマ |
パーマン2号 怪獣退治 | 不明 | ぼくらのパーマン | パーマン2号はウキキのキ | 朝日ソノラマ |
ロボット怪獣ゴリアテ | 第37回B『怪人ゴリアテ大暴れの巻』 | ぼくらのパーマン | パーマン2号はウキキのキ | 朝日ソノラマ |
パーマン全員集合 | 第23回A『パーマン全員集合の巻』 | ぼくらのパーマン | パーマン2号はウキャキャのキャ | ミュージック・グラフ |
ジン魔神退治の巻 | 第06回B『砂漠のジン魔神の巻』 | ぼくらのパーマン | すてきなパー子 | ビクター出版 |
用心棒の巻 | 第15回A『パーマン用心棒の巻』 | ぼくらのパーマン | パーマン2号はウキャキャのキャ | ビクター出版 |
パーマン2号の秘密? | 第02回A『(秘)パーマン2号の巻』 | ぼくらのパーマン | すてきなパー子 | コロムビア |
ロボット騒ぎの巻 | 第04回A『ロボット騒ぎの巻』 | ぼくらのパーマン | ステキなパー子 | 勁文社 |
パーマン2号は社長さんの巻 | 第36回A『パーマン2号は社長さんの巻』 | パーマン2号はウキャキャのキャ | - | 東芝 |
パーマンよいつまでもの巻 | 第54回A『パーマンよいつまでもの巻』 | ぼくらのパーマン | パーマン2号はウキャキャのキャ | エルム |
本放映時〜1969年頃のかけて発売された、『パーマン』ソノシート(フォノシート/ソノレコード)の一覧です。 (『耳を澄ませば』様のデータを元に作成) 当時、『パーマン』からはシングル盤も発売されていましたが、ここではドラマが収録されているものだけを掲載しました。 『パーマン2号はウキキのキ』や『ステキなパー子』のように、発売会社によって曲の表記が異なっているのが面白いですね。 ソノシート『パーマン』のドラマにはアニメ版の音声テープが使われていました。「ドラマ流用元」は音源となった(と思われる)アニメ版の話数とタイトルを指します。ソノシートの収録時間が最大片面7分×両面=14分、音楽2曲分で5〜6分を引くとドラマは8〜9分しか収録できない計算ですので、本編からは4分以上のカットがあった計算です。 『パーマン2号 怪獣退治』の音源がどうしても分からなかったのですが、アニメの音声を流用しているのではなく、新規にドラマが吹き込まれているのかもしれません(音声流用の可能性がないとは言えないのは、第16回Aパート『恐竜はどこにいるの巻』もしくは第19回Aパート『小鳥の怪獣の巻』)。 他にも掲載タイトルのうち新録音のものがあるかもしれません。 |
『パーマン』の再放送は、1976年に山梨県・山口県他で行われたものが最後となっているそうです。 有名作品であったため、カラー版アニメが始まる前は懐かしテレビ特集の番組で取り上げられたり、'80〜'90年代にも『テレビ探偵団』などで映像が流れることがよくありました。しかし最近は、専らカラー版が取り上げられることが多くなっています。 近年の再放送例としては、'96年に藤本先生が亡くなった際、NHK-BSの藤子特集で『パーマン家族の巻』(第52回Bパート)が丸ごと放送されたのが唯一と思われます。 1998年には、レコードサイズ・テレビサイズの主題歌・挿入歌・BGMを収めたCD『懐かしのミュージッククリップ39 パーマン』が東芝EMIから発売されました。このシリーズでは東京ムービー作品の多くがCD化されていましたので、その一環での発売と思われます。 『怪物くん』のサントラもあり、『オバケのQ太郎』も発売予定でしたが、発売中止となってしまいました。 同年には、ビデオ・LD『東京ムービーアニメ主題歌大全集』シリーズも発売。第1巻にオープニング&エンディングのみですが、初めてのメディア収録となりました。 このシリーズは、映像を追加して『東京ムービーアニメ主題歌大全集 DVD-BOX』としてDVD化される話もあり、予約受付も始まっていたのですが、発売延期を繰り返し現在発売未定となっています。 このBOXにはビデオ・LD版に未収録だった『ジャングル黒べえ』も収録予定となっていて、藤子サイドからNGが出たのでは…と囁かれています。 アニメ特集の番組などで「1967年 『パーマン』がアニメ化」、「『パーマン』1967年放送」など、話の流れの上で明らかにモノクロ版を指しているという場合にもわざわざカラー版の映像が流されたりと、現在モノクロ版『パーマン』のメディア露出は最低限に抑えられています。 2002年にTBSの関係者に配られた本『TBS50年史』の特典DVDには、『オバケのQ太郎』、『怪物くん』と共に、『パーマン』のダイジェスト映像も収録されているそうです。ただ一般向けに出回っていないため、ネットオークションでも2、3万円で取引されていて入手は困難。図書館には納本されているところがあります。 本作はアジア・ヨーロッパなど海外にも輸出され、『SUPER DINAMO』、『SUPER KID』、『PERMAN』等のタイトルで放送されました。海外での放送は比較的近年まで行われていたようで、インターネット上でも外国語に吹き替えられた動画が出回っています。 横浜市・中区にある放送ライブラリーでは、第22回『狙われたパーマンの巻』と『パーマン基地計画の巻』の視聴が可能(無料)。ただしオープニング&エンディングがカットされています。 |
『パーマン』のフィルムは東京ムービー制作分については、東京ムービー(現:トムス・エンタテインメント)の方で保管されていると思われます。ビデオ・LD『東京ムービー主題歌大全集』収録の映像は東京ムービー制作分ですので、東京ムービー保管の映像なのでしょう。 一方のスタジオ・ゼロ制作分に関しては、スタジオ・ゼロ解散後は鈴木先生の同名個人事務所「スタジオ・ゼロ」での保管を経て、(1995年時点で)藤子プロで保管されていました。 藤子プロに保管されているもの、すなわちスタジオ・ゼロ制作分ですが、1995年の時点でネガフィルムは概ね揃っていたものの(全話かは不明)プリントは2本分しか残っていなかったそうです。以前ネオ・ユートピアが上映会を催した際は、ネガフィルムからニュープリントを起こして上映したとのこと。 この他、放送前にはパイロットフィルム(モノクロ)も制作されているのですが、こちら完全に所在不明のようです。東京ムービー/スタジオ・ゼロどちらの制作なのかも分かりません。 |
参考資料/サイト 『NEO UTOPIA』会誌第22号、『アニメージュ』1980年9月号、2ちゃんねる掲示板、Wikipedia |